大きく

ふつう

文字サイズ

TOP 資料 > 災害時地域精神保健医療活動のガイドライン

災害時地域精神保健医療活動のガイドライン

近年、阪神・淡路大震災(平成7年1月17日発生)をはじめとする各種自然災害ならびに犯罪、事故などの人為際災害において、いわゆる「心のケア」の必要性が一般社会においても、また精神保健医療関係者においても強く認識され、これまでに様々な実践が行われてきた。そうした経験を通じて明らかになったことを広く共有し、今後のよりよい活動につなげていくために、今回、「災害時地域精神保健医療活動ガイドライン」を作成することとなった。こうした災害時には、PTSDを初めとする様々な心理的な反応が生じるが、特定の診断だけにこだわらずに、広く精神保健医療活動を続けることが重要である。
本ガイドラインでは、様々な活動を統合していくための考え方を示すとともに、災害時の混乱の中で実現可能と思われる提言を行った。ファーストコンタクト、トラウマからの自然回復の重視、多文化対応、ボランティアや報道機関との連携など、これまでの実践の中から学ばれたことを、できるだけ具体的に盛り込んだつもりである。
本ガイドラインが現場において広く使用されるとともに、多くの方の経験を踏まえてより良いものに書き改めていくことを期待している。

平成15年1月17日

平成13年度厚生科学研究費補助金(厚生科学特別研究事業)
「学校内の殺傷事件を事例とした今後の精神的支援に関する研究」
主任研究者:国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部部長
金 吉晴

(作成協力者:五十音順)
阿部幸弘  北海道立精神保健福祉センター 相談部長
荒木 均  茨城県保健福祉部保健予防課長
岩井圭司  兵庫教育大学 学校教育学部教育臨床講座 助教授
加藤 寛  兵庫県ヒューマンケア研究機構こころのケア研究所 研究部長
永井尚子  和歌山市保健所保健対策室長 参事補
藤田昌子  兵庫県立精神保健福祉センター 精神保健福祉専門員
山本耕平  和歌山市保健所保健対策室主査 精神保健福祉相談員
綿引一裕  茨城県保健福祉部障害福祉課 主査

はじめに

災害時には多数の地域住民にさまざまな精神的な影響が出ることから、地方自治体、保健所、精神保健福祉センター等を中心とする地域精神保健医療上の対応が必要となる。この業務に従事する医師、保健師、看護師、精神保健福祉士、その他の専門職、行政職員においては、本ガイドラインに示す点に留意しつつ活動を行うことが望ましい。
なお、本ガイドラインでいう災害とは、住民個々人だけでなく、地域全体が被害を受けたと感じられるような出来事、もしくは地域の生活機能自体が障害されるような出来事である。言葉を換えれば、被害を受けた特定個人への個別の対策だけでなく、地域住民全体への対策が必要となるような出来事ということである。具体的には地震、洪水などの自然災害、火災、事故、環境汚染、犯罪などで対象が広範囲に渡るものなどである。近年の例で言えば、「地下鉄サリン事件」、「阪神・淡路大震災」、「和歌山カレー毒物混入事件」、「JCO臨界事故」などがそれにあたる。