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死亡告知・遺体確認における遺族への心理的ケアダイジェスト

大切な方を失った家族の悲しみや衝撃は計り知れないものがあります。特に、死の告知や遺体確認は強い心理ストレスであり、混乱などの精神的反応を起こすことが考えられます。ここでは一般的な配慮や対応の方針を提示しておりますが、状況にあわせて柔軟に対応していただくようお願いいたします。

1. 死の告知にあたっての留意事項

  • (1)告知前に故人の状況(発見された状況など)をできるだけ把握する。
  • (2)告知者は自分の所属や身分を明らかにする。
  • (3)伝えるべき相手かどうか、どのような関係者であるか確認する。適切であると思われる成人の家族がまず告知を受けるようにする。子どもが一緒に聞くかは成人の遺族に確認する。遺体を確認する人、遺体に対面するかどうかは遺族の意思を尊重する。
  • (4)告知は基本的には対面で行う。できる限り電話等での告知は避ける。
  • (5)告知の場所はできるだけ他の人のいない静かな場所で行う。できれば遺族には座ってもらい、告知者も座って伝える。遺族の顔を見て説明する。
  • (6)簡潔でわかりやすい言葉を使う(生存しているととられるような誤解を招くようなあいまいな言葉は使わない)。敬意を持って丁寧な言葉を使う。亡くなられた方をお名前や「息子さん」という言い方で呼ぶ。
  • (7)遺族の質問や要望を確認し、できる範囲でそれに対応する(わからないことは慰めであっても言わない、遺品の確認、搬送や埋葬・届け出など今後の手続き、他の家族への告知)。

2. 遺体と対面する遺族への支援・配慮

  • (1)亡くなられた方の尊厳に可能な限り配慮する(体をきれいにする、損傷部位に包帯をまく、きれいな布をかける、棺にいれる、遺品をきちんと保存する、花をおくなど)。
  • (2)遺体の損傷が激しい場合には事前にそのことを説明する。損傷がひどくてすべてを見せるのがためらわれる場合には、比較的きれいな状態である部分を見てもらうことも検討する。
  • (3)対面するべき遺体とだけ対面するように確実に案内する。付添者は確認場所まで案内し、確実に戻って来られるように手配する。
  • (4)対面時十分にお別れが言えるようにプライバシーを尊重する。付添者は少し離れて見守る。対面時に遺族がどのような反応をしても、それを尊重する。遺体に触れることも危険がない限りは妨げない(皮膚が剥離してしまうような場合には事前にそのことを伝えておく)。
  • (5)対面しないことを希望する場合、遺体の写真をとっておくことが後日役に立つことがある。
  • (6)今後遺族が必要としている社会資源や制度についての情報を提供する。また、今後の心理支援が行える団体等を紹介する。

3. 遺族の心理反応への支援

  • (1)遺族の心理反応(*これらの反応には個人差がある)
  • 泣く、泣き叫ぶ、ふらついたり、倒れたり、しゃがみ込んだり、立っていられない状態になる、パニック状態になる(過呼吸、動機、震えなど)
  • 強い怒りを示す、死を認めようとしない、自分を責める
  • 呆然とする、話に反応しない、感情の麻痺や解離(表情がない、淡々とおちついている)
  • (2)対応(多くの場合、遺族に共感的によりそうことで遺族自身が徐々に落ち着いてくる)
  • 支援者・告知者が動揺せず、暖かく共感的で落ち着いた態度や口調を示す。
  • 背中をさする、手を握るなどの身体接触は慰めになることも多いが、一方不快に感じる遺族もいる。特に家族以外の異性の支援者は行わない方が良い。
  • あらかじめ遺族の混乱が予想される場合には複数の支援者・告知者が付き添う。
  • 最初は、遺族が泣いたり怒ったりしている言葉を静かにうなずきながら聞く。感情をむやみに抑えようとすることはしない。事実関係を述べ説得しようとすると口論になりやすい。
  • パニックをおこしたら、椅子に深く腰をかけさせ、ゆっくり息を吸い、吐き出すように声掛けをする。少し落ち着くまで寄り添い休ませる。座れる場所につれていく。
  • 呆然として周囲の状況が分からないような状態になった場合は、穏やかに遺族の名前を繰り返すなど、声掛けを行う。体に力が入らないようであれば、現実感覚を取り戻すような手伝いをする(手を数回握ったり開いたりしてもらう、冷たいタオルをあてるなど)。
  • 遺族が一見冷静に見える場合でも、実際には落ちつた状態であるわけではない。「しっかりとしている」「大丈夫」など感情を抑制していることを褒めるような発言をさける。
  • きょうだいや親をなくした子どもに対して、感情を抑制させるような発言は避ける(「しっかりしなさい」、「お母さんを支えるようにがんばりなさい」など)。

4. その後のケア

  • (1)反応が強いあるいは、その後の状態が心配される遺族に対しては、別れる前にあらかじめ連絡先や連絡手段を確認し、後日連絡してもよいか確認する。
  • (2)可能であれば、1か月後くらいに連絡し様子を確認する。うつ病等が疑われる場合には、医療機関の受診をすすめる。

執筆:
伊藤正哉,中島聡美(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所),小西聖子(武蔵野大学)柳田多美(大正大学)

参考文献:

  • (1)Pan American Health Organization & WHO: Management of Dead Bodies in Disaster Situations. Disaster Manuals and Guidelines Series, No 5, Washington, D.C., 2004
  • (2)柳田多美,中島聡美:突然の死の告知.金吉晴編:心的トラウマの理解とケア.第 2 版.じほう,東京,2006